警備員指導教育責任者とは?|資格・仕事内容・選任要件を行政書士が徹底解説

警備員指導教育責任者とは

どーも!いつも記事をお読みいただきありがとうございます。

行政書士山本貴史事務所です。

行政書士

警備会社を開業する為に、そして警備会社を運営していくために、必ず必要となる役割がありますよね。

そう。

「警備員指導教育責任者」です。

「警備員の教育をする人のこと?」

「資格を持っている人を1人雇えばいい?」

「社長が指教責になることはできる?」

「指教責は現場に出られないの?」

「他の会社と兼任できる?」

このように、警備業をこれから始める方からは、指導教育責任者についてさまざまな疑問が出てきます。

実は、警備員指導教育責任者は単なる「社内研修の担当者」ではありません。

警備業法では、警備業者に対して、営業所ごと、さらに取り扱う警備業務の区分ごとに、原則として警備員指導教育責任者を選任することを求めており、指教責に選任された者には、警備員に対する指導・教育に関する計画の作成や、その計画に基づく指導・教育などの重要な業務が課されています。

つまり、居なければ警備会社は成立しないということですね。

さらに、

  • 「指教責は現場に出られない」
  • 「指教責は他の仕事をしてはいけない」
  • 「資格者証を持っている人の名前だけ借りればいい」
  • 「1人いれば全国どこの営業所でも指教責になれる」

といった誤解も少なくありません。

しかし、これらは一律に「はい」「いいえ」で簡単に判断できる問題ではありません。

特に重要なのが、「専任」という言葉の意味です。

警察庁の解釈運用基準では、指教責の「専任」について、営業所に常勤して指教責業務に従事し得る状態にあることを基本としながらも、指教責の業務だけに専従する必要まではないと整理されています。したがって、一定の範囲で警備業務や営業所の他の業務に従事することも認められています。

この記事では、警備業に特化した行政書士として、警備業法・警備業法施行規則・警察庁の解釈運用基準を踏まえ、警備員指導教育責任者について分かりやすくご説明いたします。

警備業法

警備員指導教育責任者とは?

警備員指導教育責任者とは、簡単にいうと、警備員に対する指導・教育を適切に行うため、警備業者が営業所に選任する責任者です。

警備業法第22条では、警備業者は、警備員が所属する営業所について、取り扱う警備業務の区分ごとに、警備員の指導・教育に関する計画を作成し、その計画に基づいて警備員を指導・教育する業務を行う「警備員指導教育責任者」を選任しなければならないと定めています。

これから警備業を始めるうえで覚えておいて欲しいのは、「警備員が所属する営業所」が基本となっている点です。

例えば、同じ市内にA営業所、B営業所と分かれている場合は、A・B両方の営業所で指教責の選任が必要となりますので覚えておきましょう。

ちなみに、指教責はどんな仕事なのかご存じですか?

警備員指導教育責任者という名称から、「新人研修を担当する人」というイメージを持つかもしれませんね。

まぁ、『指導』『教育』の責任者ですもんね。
そう思うのも無理はありません。

しかし、指教責の仕事はそれだけではありません。

警備業法施行規則第40条では、指教責の業務として、指導計画書を作成し、その計画に基づいて警備員を実地に指導し、その記録を作成すること、さらに教育計画書を作成し、その計画に基づく警備員教育の実施を管理することなどが定められています。

つまり、「教育をする人」だけではなく、「警備員の指導・教育が適切に行われるよう管理する責任を負う人」です
作成しなければならない書類も多く、責任のある重大な役割の仕事だと言えます。

具体的には下記のような業務内容となります。

指導計画書の作成

警備員に対する指導について計画を作成します。

そして、その計画に基づいて警備員を実地に指導し、その記録を作成します。

教育計画書の作成

警備員に対する教育についても計画を作成します。

そして、その計画に基づいて警備員教育が適切に実施されるよう管理します。

ややこしそうですよね。まぁ国家資格ですし。

警備業法や業界の知識がないと務まりません。

警備員指導教育責任者には1号・2号・3号・4号がある

警備員指導教育責任者は、すべての警備業務について共通の資格というわけではありません。

警備業務は大きく4つの区分に分かれており、指教責についてもそれぞれの区分に対応した資格者証が存在します。

区分主な警備業務
1号施設警備
2号交通誘導警備・雑踏警備
3号貴重品運搬警備など
4号身辺警備

例えば交通誘導警備を行う会社なら?

交通誘導警備や雑踏警備は2号警備業務に分類されます。

そのため、2号警備を取り扱う営業所では、原則として2号の警備員指導教育責任者を選任することになります。

ちなみに、警備業の資格として『交通誘導警備業務検定』という資格もありますが、完全に別物です。
こちらは現場の警備員としての能力を担保する為の資格であり、認定路線での警備などの際に必要となります。

どちらも警備業界で重要な資格ですが、制度上の目的が異なります。

交通誘導警備業務検定については、当サイトの別記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてお読みください。

交通誘導警備業務検定とは?|1級・2級の違いや取得方法、配置義務を解説

また、そもそも2号警備とは何なのかについては、こちらの記事をご覧ください。

2号警備とは?|交通誘導・雑踏警備の違い

警備会社には指教責が必ず必要なのか?

ここは警備会社を開業する方は絶対に覚えておきましょう。

まずは結論から言うと、必ず必要です。

優秀な采配をする管制。

警備業界を熟知した経理。

バンバン仕事を取ってくる営業。

全て重要な役割ですが、警備会社として成立する為にはなによりも指教責が必要です。

というのも、警備業法22条第1項に選任義務が定められています。つまり、警備員が所属する営業所については、原則として、営業所ごと・警備業務の区分ごとに指教責を選任する必要があります。

何度も言いますが、営業所ごとに、そして警備業の区分ごとに選任が必要ですよ。

例えば、ある営業所で、2号警備だけを行うのであれば、2号の指教責が必要です。

では、1号警備、2号警備など、複数の警備業務を取り扱う場合にはどうでしょうか?

警備業法施行規則第39条第2項では、1つの営業所で複数の警備業務区分を取り扱い、そのすべての区分について資格者証の交付を受けている者が置かれている場合、区分ごとに別々の専任指教責を選任する必要はないとされています。

つまり、「1号・2号の双方について指教責資格者証を持っている人」であれば、同一営業所において複数区分の指教責を担当することが可能となります。

書類説明します

指教責になるにはどうすればなれるのか?

指教責として選任されるためには、単に長年警備会社で働いていて、数多くの警備員を育ててきたで!という実績と信頼だけでは足りません。

警備業法第22条では、指教責として選任できる者について、警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者としています。

この資格者証は、都道府県の公安委員会が実施している、警備員指導教育責任者講習を受講し、その講習の最後に行われる修了考査に合格する必要があります。

80%程度の合格率となっていますが、講習をちゃんと聞いていないと普通に落ちますので要注意ですよ。

ちなみに、この講習は受講資格がありますのでしっかりと確認しておきましょう。

指教責の「専任義務」について

警備業法施行規則第39条第1項では、原則として、指教責は営業所ごと・警備業務区分ごとに「専任」で置くこととされています。

では、この専任とはどのような意味でしょうか?

警察庁の解釈運用基準では、「専任」とは、その営業所に常勤して指教責の業務に従事し得る状態にあることをいうとされています。

一方で、指教責の業務だけに専従する必要まではないとされており、指教責業務に支障がない範囲で、警備業務やその営業所の他の業務に従事することも可能とされています。

たまに勘違いされている方もいらっしゃいますが、「指教責だから現場に出られない」というのは都市伝説みたいなものです。

指教責として必要な業務を適切に行える勤務実態になっていれば、現場にでていても大丈夫です。

勿論、必要な業務を行えなければダメですよ。

解釈運用基準では、専任とは言えない状況の例として下記の様に記載されています。

他の営業所と掛け持ちしている場合、他に職業を持っていて通常の営業時間にその営業所に勤務できない状態にある場合等は、専任とはいえない。

ちなみの他の営業所との掛け持ちについては例外があって、警備員の数が5人以下で、営業所同牛がおおむね片道1時間以内で行ける距離にある場合は2つまでは兼任が認められていますので覚えておきましょう。

NG

「指教責の名義貸し」について

たまーに資格を持っている人に月数万円支払って、名前だけ借りて全然出社はしてませんよ!というお話を聞くことがあります。

これは非常に危険です。

  • 実際には営業所に勤務していない
  • 指教責としての業務を行っていない

上記のようなケースは警備業法上、いわゆる名義貸しと呼ばれる行為になります。
悪質だと判断されれば、最悪営業停止、指教責の資格はく奪といった重い罰にもなり得ます。

『バレるわけない』

そう思っている方も多いですが、確かに書類さえ整っていれば普通はそうそうバレません。

しかし、実際には定期的に処分されている会社があります。

それは何故でしょうか?

実は同業者や警備員からのチンコロが理由として多いのではないかと思います。

皆さんご存じのように、警備員さんは長く同じ会社で働き続ける人も多いですが、定期的に所属会社を変更している方も多いですよね?

その分色々な会社で入社の手続きをしているわけです。

『あ~この会社は新任教育やらへんねや。覚えとこ。』と、色々な会社の情報が手に入ります。

揉めてやめた場合や、他の会社に移る際の手土産として情報を提供する人もいたりとかいなかったりとか。

悪意がなくても、移った先で教育を受けたときに、『前の会社はこんなめんどいんやってなかったけどなー』とぼやいてしまうとアウトです。

警察へ情報提供することで、競合先が減ることはメリットでもありますし、警備業界をクリーンにするといった活動にもなりますしね。

交通誘導

指教責が退職したらどうなる?

警備会社を運営していると、「指教責が退職することになった」という事態もあり得ますよね。

この場合は、原則として14日以内に選任する必要があります。

ただ、この条文が面白いんですよね。

警備業法22条には、指教責が欠けた場合について、他の選任義務規定とは少し変わった書き方がされています。

他の法律などでの専任規定は「14日以内に後任者を選任しなければならない」と書かれていることが多いんですが、警備業法22条には「その日から14日間は、警備員指導教育責任者を選任しておかなくてもよい」と定められています。

つまり、法律上は「後任者を選任するまでの14日間を欠員状態として許容する」という構造になっています。
14日以内に選任する必要があるのは変わらないんですが、すごく違和感があったのでついでに調べてみました。

昭和57年の国会答弁で同じ疑問を持った議員さんがいたようです。

なぜ「14日以内に選任しなければならない」ではなく、「14日間は選任しておかなくてもよい」と書いているのか?

答弁内容は、下記のような内容でした。

指導教育責任者が欠けるという事態は、欠格事由とは違って、勤務異動など企業内部の事情によって日常的に起こり得る。

だから、そのような者が14日間いなくても、直ちに法的措置を取ることを猶予するための「14日間の猶予期間」を設けた。という説明です。

立法者自身が猶予期間だよと言ってるんですね。
だからと言って、15日以上欠員でいいよと言っているわけではないので一緒なんですが、小話として覚えておいてください。

ちなみに、なぜ14日以内なのかについても同じ国会で質問していて警察庁の答弁もありました。

他の法律でも、届出期間や資格者の選任期間などについて、2週間程度、あるいは長い場合は1か月程度という期間が一般的に設けられているから。

まぁ他の法令とのバランスを考えて2週間程度が望ましいと判断したんでしょうね。

解説

警備会社を開業するときの指教責チェックリスト

これから警備会社を開業するのであれば、少なくとも次の点を確認しておきましょう。

指教責チェックリスト

  • □ どの警備業務を取り扱うのか決めた
  • □ 営業所に警備員が何人所属するか確認した
  • □ 必要な警備業務区分を確認した
  • □ 該当区分の指教責資格者証を持つ人を確保した
  • □ 「専任」の要件を確認した
  • □ 複数区分を扱う場合の選任方法を確認した
  • □ 複数営業所がある場合の兼任の可否を確認した
  • □ 指教責の実際の勤務体制を検討した
  • □ 警備員教育の体制を整えた

上記は最低限確認しておきましょう。
できるのであれば、指教責は信頼のおける辞めない人を採用するのがトラブルなく運営する方法の一つです。
絶対に必要な役割ですし、人材不足ですので、コロコロ変更するわけにもいきませんしね。

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