警備員指導教育責任者になるには?|資格・講習・受講資格・資格者証を行政書士が解説

指導教育責任者になるには

どーも!いつも記事をお読みいただきありがとうございます。

行政書士山本貴史事務所です。

行政書士

警備会社を開業する為に、そして警備会社を運営していくために、必ず必要となる役割がありますよね。

そう。

「警備員指導教育責任者」です。

「指教責」や「指導教」という略称で呼ばれることもあります。

しかし、実際に警備業を始めようとすると、色々な疑問にぶち当たります。

  • 2級検定に合格すれば指教責になれるの?
  • 警備員として何年働けばいい?
  • 指教責の講習は誰でも受けられる?
  • 講習に合格したら、その時点で指教責?
  • 「資格者証」と「講習修了証明書」は何が違う?
  • 2号警備の指教責になるにはどうすればいい?

といった疑問です。

結論からいうと、警備員指導教育責任者(指教責)になるまでには、いくつかの段階があります。

単純に「講習を受ければ終わり」という制度ではありません。

基本的には、

受講資格を満たす

指導教育責任者講習を受講・修了する

指導教育責任者資格者証の交付を受ける

警備会社から営業所の指教責として選任される

という流れです。

そして、ここで注意していただきたいのが、「指教責の資格を持っていること」と「営業所で指教責として選任されていること」は別だということですね。

この記事では、警備業法を専門に扱う行政書士の立場から、指教責になるまでの道筋を一つずつ整理します。

なお、「指教責とはそもそも何か」「資格を取得するにはどうすればいいか」といった制度全体については、以下の親記事で詳しく解説しています。

関連記事:警備員指導教育責任者とは?|資格・仕事内容・選任要件を行政書士が徹底解説

警備業法

警備員指導教育責任者になるには?

まず、制度の根本から確認しておきましょう。

警備業法22条では、警備業者は営業所ごと、そしてその営業所で取り扱う警備業務の区分ごとに、警備員指導教育責任者を選任しなければならないと定めています。

そう。『選任しなければならない』です。
ということは、警備会社には必須の重要なポジションであると言えますね。

ただし、誰でも指教責として選任できるわけではありません。

警備業法では、営業所の指教責として選任できるのは、警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者とされています。

つまり、「警備会社で長く働いているから指教責になれる」という制度ではありません。

法律上必要な資格を取得し、そのうえで警備会社から営業所の指教責として選任される必要があります。

指教責になるまでの流れ

大きく分けると、次のようになります。

①どの警備業務区分の指教責になるか決める

②指導教育責任者講習の受講資格を確認する

③指導教育責任者講習を受講する

④講習課程を修了する

⑤公安委員会から資格者証の交付を受ける

⑥警備会社が営業所の指教責として選任する

 

この順番を理解しておくことが重要です。

指教責の資格は「警備業務の区分ごと」に必要

指教責について最初に理解しておきたいのが、警備業務の区分ごとに必要ということです。

警備業法では、警備員指導教育責任者資格者証の交付は、警備業務の区分ごとに行うとされています。

ご存じの通り、警備業務は、1号警備~4号警備に分かれています。

例えば交通誘導警備や雑踏警備を行う会社であれば、基本的には2号警備に対応した指教責資格者証が必要になるということですね。

ここを勘違いして、「指教責の資格を持っている人を採用したから大丈夫」と安心していたら、自社の警備業務区分の資格者証がないということもあり得ます。

重要なのは、その営業所で取り扱う警備業務の区分に対応した資格者証を持っているかという点だということを覚えておきましょう。

行政書士が教える

指教責講習は誰でも受けられるわけではない

指導教育責任者講習には、受講資格があります。
誰でも受験できるわけではないんですね。

国家公安委員会規則である「警備員指導教育責任者及び機械警備業務管理者に係る講習等に関する規則」3条では、警備業務の区分ごとに、一定の要件を満たす者を講習の対象者としています。

主なルートは次の4つです。

①最近5年間に3年以上、その区分の警備業務に従事している

一つ目は、実務経験によるルートです。

最近5年間に、当該警備業務の区分に係る警備業務に従事した期間が通算3年以上であることが要件となっています。

例えば2号警備の指教責講習を受ける場合、「警備会社で働いた経験がある」だけでは足りません。

重要なのは、2号警備という該当する警備業務の区分について、要件を満たす実務経験があるかですので、単純に「警備員歴3年以上」と覚えないようにましょう。

②1級検定の合格証明書を持っている

二つ目は、1級検定によるルートです。

該当する警備業務区分の1級検定の合格証明書の交付を受けている者は、指教責講習の対象となります。

例えば2号警備について1級検定の合格証明書を取得している場合、2号の指教責講習につながるルートがあります。

③2級検定+1年以上の実務経験

そして、実務上かなり問い合わせの多いのが、このルートです。

2級検定については、

2級検定の合格証明書を取得

その後、継続して1年以上、その区分の警備業務に従事

することで、指教責講習の受講資格につながります。

④公安委員会が同等以上の知識・能力を認めた場合

4つ目として、公安委員会が前記の者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者も講習の対象となります。

ただし、これは「誰でも申請すれば認めてもらえる特別ルート」という意味ではありません。

実際にどのような場合に認定できるのかについては、国家公安委員会規則だけでなく、警察庁の解釈運用基準も確認する必要があります。

警察庁の現行基準では、例えば指導・教育に関する管理的・監督的地位にあった期間が通算7年以上で、十分な能力を有すると認められる者などが基準として示されています。さらに、公安委員会による認定は慎重に運用するものとされています。

したがって、一般的に指教責を目指すのであれば、まずは講習を受けて資格者証を取得するルートを考えるのが基本です。

指教責講習では何を勉強するの?

では、実際に講習では何を学ぶのでしょうか。

指導教育責任者講習の内容は、国家公安委員会規則5条で定められています。

大きく分けると、

  • 警備業務実施の基本原則
  • 警備業法その他の関係法令
  • 警備業務に関する基本的な知識・技能
  • それぞれの警備業務区分に応じた専門的な知識・技能
  • 指導教育責任者として必要な指導・教育

上記のようになります。

つまり、単に「警備員として現場に立つための講習」ではありません。

警備員を教育し、指導し、会社の警備業務を適正に運用していくための知識を身につける為の講習だと言えますね。

これは、指教責の仕事内容を考えれば当然のことです。

指教責は、教育計画を作成したり、教育の実施を管理したり、指導計画に基づいて警備員を実地に指導したり、警備業者に必要な助言をしたりする立場だからです。これらの業務は警備業法施行規則40条に具体的に定められています。

2号警備の指教責講習は何時間?

交通誘導警備・雑踏警備などの2号警備について見てみましょう。

国家公安委員会規則5条では、指教責講習について下記の様に定められています。

講習内容時限
警備業務実施の基本原則1時限
警備業法その他関係法令10時限
警備業務に係る基本的な知識・技能6時限
2号警備の専門的な知識・技能14時限
指教責として必要な指導・教育7時限

合計すると、38時限です。

そして、規則上は1時限を50分としています。

したがって、時間に換算すると、38時限 × 50分 = 1,900分

つまり、31時間40分となります。

もちろん、実際の講習日程は各都道府県公安委員会が公示する日程によって決まります。

結構長いですよね。
約1週間程度時間を取られますので、社員の方に受講させるのであれば、スケジュールは要確認しておきましょう。

行政書士

指教責講習には「新規取得」と「追加取得」がある

警察庁の2024年の講習運用通達では、指教責講習について、新規取得講習追加取得講習という区分が示されています。

新規取得講習

まだ指教責資格者証等を取得していない人が、新たに資格を取得するための講習。

追加取得講習

すでに指教責資格者証等を取得している人が、別の警備業務区分について資格を追加取得するための講習。

追加取得の場合は、受講時間が大幅に少なくなることがメリットだと言えますね。

講習を修了したら、その時点で「指教責」なの?

結論から言うと、厳密には違います

講習を修了した人は、資格者証の交付を受けるための要件を満たすことになります。

警備業法22条2項では、公安委員会が、指導教育責任者講習を受け、その課程を修了した者などに対して、警備員指導教育責任者資格者証を交付すると定められています。

そして、警察庁の解釈運用基準でも、資格者証の交付申請において、講習修了者については警備員指導教育責任者講習修了証明書を提出することとされています。

したがって、制度を整理すると、

講習を修了する

資格者証の交付申請

公安委員会から資格者証の交付

警備会社が営業所の指教責として選任

となりますね。

指導教育責任者資格者証の交付申請はどうする?

資格者証の交付を受ける場合、警備業法施行規則42条に基づき、住所地を管轄する公安委員会に申請書を提出します。

また、申請書は住所地を管轄する警察署長を経由して提出することとされています。

申請時には、申請書と共に添付書類も用意する必要があります。

講習修了証明書(原本)
履歴書(様式の定めはない)
住民票の写し
(本籍地(外国人の場合は国籍等)を記載のもの)(コピー不可)
身分証明書(本籍地の区市町村の長が証明する書類)
診断書(警備員指導教育責任者用)

上記は最低限必要な添付書類となりますが、自治体によっては他にも書類の提出が求められることもありますので、管轄の警察署の生活安全課の防犯係に確認しましょう。

指教責資格者証には有効期限がある?

指教責資格者証については、「何年で失効する」という通常の有効期限が定められているわけではありません。

一方で、資格を取得した後に営業所の指教責として選任された場合には、現任指導教育責任者講習という別の制度があります。

警備業法22条8項では、警備業者に対し、選任した指教責に所定の講習を受けさせる義務を課しています。

そして、国家公安委員会規則9条では、その期間を3年としています。

書類

「講習を受けなくても」資格者証を取得できる場合がある

ここまで読んで、「じゃあ、絶対に講習を受けなければいけないの?」と思われた方もいるでしょう。

実は、法律上は例外があります。

先ほどもさらっと触れていましたが、警備業法22条2項2号では、公安委員会が、指導教育責任者講習の課程を修了した者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者についても資格者証を交付できることになっています。

その認定基準は国家公安委員会規則8条に定められています。

例えば、当該警備業務区分に係る警備員の指導・教育について、管理的または監督的地位にあった期間が通算7年以上であり、さらに十分な能力を有すると認められる者などが対象となります。

さらに警察庁の解釈運用基準では、「十分な能力」について、実際に警備員を指導・教育した経験が相当あり、指教責としてふさわしい人格・識見があることなどが示されています。

つまり、「7年間警備会社にいたから自動的に講習免除」という意味ではありません。

あくまで公安委員会による認定が必要です。

しかも警察庁は、この認定について慎重に運用するよう示しています。

そのため、一般的な取得方法としては、受講資格を確認したうえで指教責講習を受講するルートが基本と考えておくべきでしょう。

 

指教責資格者証を持っていれば、どの営業所でも指教責になれる?

「資格者証を持っている」ことと、「どこの営業所でも自由に指教責として勤務できる」ことは同じではありません。

警備業法施行規則39条では、原則として営業所ごと・警備業務区分ごとに、専任の指教責を置くこととされています。

ただし、一定の条件を満たした場合には、近接する営業所で警備員が5人以下の場合などについて、別営業所の指教責を兼ねることができる制度もあります。

また、警察庁の解釈運用基準では、「専任」について、営業所に常勤して指教責の業務に従事できる状態であることが基本とされています。

他の営業所と掛け持ちしている場合や、他の職業によって通常の営業時間にその営業所で勤務できない場合などは、原則として「専任」とはいえないとされていますので注意が必要です。

まとめ

警備員指導教育責任者になるためには、単純に講習を申し込めばよいわけではありません。

まず、自分が受講資格を満たしているかを確認する必要があります。

そのうえで、

受講資格を満たす

指導教育責任者講習を受講する

講習を修了する

資格者証の交付を受ける

警備会社から営業所の指教責として選任される

という流れになります。

そして、ここで終わりではありません。

指教責として選任された後は、警備員の教育や指導を実際に管理し、会社の警備業務を適正に維持していく役割を担います。

だからこそ、私は指教責を単なる「警備業の認定を取るために名前を置いておく資格」として考えるべきではないと思っています。

警備会社の品質を支える、非常に重要なポジションです。

これから警備会社を立ち上げる方は、認定申請の直前になって「指教責がいない」と慌てるのではなく、できるだけ早い段階から、

誰を指教責にするのか

その人は必要な資格者証を持っているのか

これから取得するなら、いつ資格者証を取得できるのか

まで逆算して準備しておくことをおすすめします。

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