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行政書士山本貴史事務所です。

前回の記事では、1号警備について詳しく解説しましたね。
その中で少しだけ触れたのが「機械警備」です。
機械警備と聞くと、「センサーを設置して、異常があったら警備会社に通知されるやつでしょ?」と思われる方が多いと思います。
もちろん、それで大筋は合っていますし、最近では、ドローンを使用した警備も実証実験されていたりしますが、ドローンによる警備も今回説明する「機械警備」に含まれます。
今回は、機械警備の仕組みを簡単に説明したうえで、これから機械警備業を始めようとしている方が特に知っておきたい「機械警備業務管理者」「公安委員会への届出」「即応体制」などを、警備業法と警察庁の解釈運用基準をもとに解説します。

機械警備とは?
まずは法律上の定義から見てみましょう。
警備業法第2条第5項では、「機械警備業務」を、警備業務用機械装置を使用して行う第1項第1号の警備業務と定義しています。
第二条 この法律において「警備業務」とは、次の各号のいずれかに該当する業務であつて、他人の需要に応じて行うものをいう。
一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
2 この法律において「警備業」とは、警備業務を行なう営業をいう。
3 この法律において「警備業者」とは、第四条の認定を受けて警備業を営む者をいう。
4 この法律において「警備員」とは、警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事するものをいう。
5 この法律において「機械警備業務」とは、警備業務用機械装置(警備業務対象施設に設置する機器により感知した盗難等の事故の発生に関する情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置で内閣府令で定めるものをいう。)を使用して行う第一項第一号の警備業務をいう。
6 この法律において「機械警備業」とは、機械警備業務を行う警備業をいう。
ここでいう第1項第1号とは、前回の記事で解説した1号警備です。
つまり、機械警備=1号警備とは別の5番目の警備業務ではなく、1号警備業務を機械装置を利用して行うものが「機械警備業務」です。
例えば、警備対象となる建物に、各種センサーや異常を感知する装置を設置して、そこで異常を検知すると、その情報を警備会社側の施設へ送信し、必要に応じて警備員が現場へ向かう。
一般的な機械警備は、このような仕組みになっています。

機械警備は「警備員がいない警備」ではない
「機械で監視するなら、警備員はいらないのでは?」
と思うかもしれませんが、そうではありません。
機械警備では、機械が異常を検知した後の対応が重要になりますよね?
まだまだ機械が自動で不審人物を撃退・拘束してくれるような戦闘ロボットはいません。
異常を感知したら、経験豊富な警備員が現地を確認する必要があります。
具体的に言うとこんな流れです。
建物のセンサーが異常を検知
↓
警備会社の基地局へ情報が送られる
↓
指令業務を行う警備員が内容を確認
↓
必要に応じて警備員を現場へ向かわせる
↓
現場で事実確認などを行う
このため、警備業法では、異常を受信した後に警備員が速やかに対応できる体制まで規制されています。

機械警備の「基地局」とは?
警備業法では、機械警備業務に係る受信機器を設置する施設を「基地局」としています。
簡単にいえば、警備対象施設から送られてくる異常情報を受け取る拠点のことですね。
お客様の事務所
↓
センサーが異常を検知
↓
警備会社の基地局
↓
指令
↓
待機している警備員が現場へ
というイメージです。
なお、「基地局」と「待機所」は同じものとは限りません。
待機所とは、現場へ向かう警備員が待機する施設のことです。
機械警備業を始めるには?
まず、機械警備業も「警備業法に定められた警備業」です。
したがって、警備業を営むために必要な公安委員会の認定を取得していることが前提になります。
そのうえで、機械警備業務を行う場合には、警備業法第40条に基づく機械警備業務の届出が必要になります。
機械警備業務の届出は、警備業法第40条に基づき、都道府県の区域ごとに行う仕組みになっており、その都道府県内に基地局を設ける場合には基地局の所在地、基地局を設けない場合には、送信機器を設置する警備業務対象施設の所在地を基準として届出を行いますので注意しましょう。
そして、警備業法施行規則では、届出書は原則として警察署長を経由して提出することになっています。
ちなみに、機械警備業務の開始日の前日までに届出を行う必要があります。
極端な話、届出さえ出してしまえば翌日から機械警備を始めることができますが、余裕こいてギリギリで準備を始めるのはやめましょう。
意外と届出書を作成したり、添付書類を用意したりと手間がかかります。
事業計画をしっかりと立て、いつから機械警備を始めたいのか予定を立てて、余裕をもって用意しましょう。

機械警備に必要な資格|機械警備業務管理者とは?
機械警備業を始めるうえで、もう一つ非常に重要なのが、機械警備業務管理者ですよね。
警備業法第42条では、機械警備業者に対して、基地局ごとに機械警備業務管理者を選任することを義務付けています。
そう。任意ではなく義務です。
必ず置かないとダメよということですよね。
しかも、単に警備業の経験がある人を置けばいいという話ではありません。
公安委員会から交付された機械警備業務管理者資格者証を持っている者の中から選任する必要があります。
この機械業務管理者資格者証を入手するには2つのルートがあります。
①公安委員会が定める機械警備業務管理者講習を修了した者
②それと同等以上の知識・能力を有すると公安委員会が認める者
上記の2つの方法が資格者証の交付対象とされています。
①であれば、実務経験などは必要なく講習を4日受けるだけですので、ほとんどの人は①の講習を受講して資格者証交付申請をします。
ただし、機械警備管理者の講習を受ければ誰でもなれるという訳ではなく、【欠格事由】も定められています。
下記の事項に該当する場合には、機械警備管理者になることはできません。
・18歳未満の者破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・拘禁刑(または禁錮)以上の刑に処せられ、または警備業法等の規定に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり(または受けられなくなって)から5年を経過しない者
・最近5年以内に警備業法やその他の重大な法令違反を行った者
・アルコール、麻薬、大麻、あへんまたは覚せい剤の中毒者
・精神の機能に障害があり、警備業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない
・暴力的不法行為を行うおそれがある者(暴力団員など)
欠格事由に該当していないかしっかりと確認してから準備しましょう。
せっかく準備を進めても、欠格事由に該当していると機械警備管理者になることはできません。

機械警備には「即応体制」が必要
機械警備業で非常に重要なのが、即応体制です。
機械が異常を検知したのに、「警備員がいないので、明日の朝に確認します」では機械警備になりませんよね。
そこで警備業法第43条では、機械警備業者に対して、基地局で盗難等の事故に関する情報を受信した場合に、速やかに現場で事実確認などの必要な措置が取れる体制を整備することを求めています。
ただし、「何人いればいいのか?」「何分以内に到着すればいいのか?」というのは全国一律ではなく、都道府県公安委員会規則で定める基準に従うこととされています。
したがって、実際に機械警備業を開業する場合には、営業する都道府県の公安委員会規則まで確認する必要があります。
ちなみに、警備員のいる待機所から現場まで25分以内と定められている所が多くなっています。(東京都、大阪府、京都府など)
どういったルートで、どのような移動手段で即応体制を整えるのか、しっかりと考えておきましょう。
機械警備業を始めるために必要な書類
機械警備業を新しく始める為の届出には、下記の書類が必要となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 機械警備業務開始届出書 | 管轄の警察署HPよりダウンロード |
| 機械警備業務管理者の資格者証の写し | 機械警備業務管理者として選任する為に必要 |
| 履歴書 | 機械警備業務管理者として選任する為に必要 |
| 住民票 | 本籍地入り |
| 身分証明書 | 本籍地のある区市町村役所で取得 |
| 医師の診断書 | 欠格事由に該当しないことを証明 |
| 誓約書 | 管轄の警察署HPよりダウンロード |
| その他添付書類 |
機械警備業務の変更や廃止にも届出が必要
機械警備業務を始めた後も、手続が終わるわけではありません。
例えば、
- 基地局を廃止した
- その都道府県内で機械警備業務を行わなくなった
- 基地局の名称・所在地等に変更があった
- 機械警備業務管理者に関する事項に変更があった
などの場合には、警備業法第41条に基づく届出が問題になります。
警備業法施行規則では、一定の変更・廃止等について、事由が発生した日から10日以内に届出を行うこととされています。ので要注意です。
まとめ
さて、おさらいです。
まず、機械警備とは、警備業務用機械装置を使用して行う1号警備のことです。
センサーなどで異常を検知し、その情報を基地局で受信して、必要に応じて警備員が現場へ向かう仕組みになっています。
そして、機械警備業を行う場合には、
- 機械警備業務の届出
- 機械警備業務管理者の選任
- 即応体制の整備
などを確認する必要があります。
機械警備は「機械を設置して監視するサービス」ではなく、異常を検知してから警備員が現場で対応するところまで含めた警備業務です。
機械を設置すれば業務完了!ではなく、正常に機械が作動しているのか常時確認し、異常があれば25分以内に駆けつけることができる体制を整えましょうね。

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