レンタカーは運転手付きで貸せる？違法な「白タク行為」と正しい許可を解説

「空港への送迎サービスを始めたい」 「観光客向けに、運転手付きでレンタカーを貸し出したい」

「高級車を貸すついでに、自分が運転してあげたい」

レンタカー事業を検討されているお客様から、このようなご相談をいただくことがよくあります。
アイデアとしては素晴らしいのですが、結論から言うと、レンタカー会社が運転手をセットで提供することは、法律で固く禁じられています。

どーも！レンタカーについてはそんじょそこらの行政書士よりも詳しいと自負しているスキンヘッドがトレードマークの行政書士です。
知らずに上記のような運転手付きサービスを行ってしまうと、いわゆる「白タク行為」として警察の摘発対象になってしまいます。

今回は、なぜ運転手付きレンタカーが違法なのか、その法的根拠（エビデンス）と、安全に事業を行うためのルールを、専門用語をなるべく使わずにわかりやすく解説します。

 結論：レンタカーと運転手のセットは「違法」

まず、大原則を覚えておいてください。

レンタカー事業者は、車の貸渡しと同時に、運転手の労務提供（運転すること）や、運転手の紹介・斡旋（あっせん）をしてはならない。

これは、「道路運送法」という法律と、国土交通省の通達によって明確に定められています。 たとえ「サービスの一環」として無料で運転してあげたとしても、実態として運送を行っているとみなされれば違法となります。

なぜダメなの？（白タク行為とは）

日本の法律では、お客様を乗せて目的地まで運び、対価をもらう事業（タクシーやバス）を行うには、「緑ナンバー（事業用自動車）」の許可が必要です。

レンタカーはあくまで「白ナンバー（自家用自動車）」ですよね。
白ナンバーの車を使って、許可なくタクシーのような営業をすることを、ナンバープレートの色にちなんで「白タク（白トラ）行為」と呼びます。

これは3年以下の懲役または300万円以下の罰金という、非常に重い刑罰が科される犯罪です。

 法律上の「エビデンス」を確認しましょう

少し難しい話になりますが、根拠となる法律を見てみましょう。

① 道路運送法 第4条

（一般旅客自動車運送事業の許可）

人や物を運んでお金をもらう（旅客自動車運送事業）には、国土交通大臣の許可が必要となります。レンタカーの許可（自家用自動車有償貸渡許可）とは全く別のものです。

② 国土交通省の通達（審査基準）

レンタカー許可を取る際のルールブックである「審査基準」には、はっきりとこう書かれています。

「自動車の貸渡しに付随して、運転者の労務供給（運転手の紹介及び斡旋を含む）を行わないこと」

つまり、

これらはすべて、「レンタカー会社がやってはいけないこと」として明記されてます。

よく、まだ法整備は去れてないはず。グレーだから大丈夫。みたいに甘く考えている人もいますが、しっかりと法律で明文化されていて、罰則も定められています。

初回は注意だけで済むんでしょ？と思うかもしれませんが、近年、取締りはどんどん強化されていますので、一発アウトもありますよ。

「運転手付き」でやりたい場合の2つの選択肢

では、どうしても「車による送迎サービス」がしたい場合、どうすれば良いのでしょうか？道は2つしかありません。

選択肢A：緑ナンバー（ハイヤー・タクシー）の許可を取る

これが正攻法です。「一般乗用旅客自動車運送事業」の許可を取得し、車を緑ナンバー登録し、第二種運転免許を持つドライバーを雇う方法です。 ただし、この許可は資金要件や試験などが非常に厳しく、レンタカー許可に比べてハードルは何倍も高くなります。

選択肢B：お客様自身に運転手を手配してもらう

レンタカー会社ができるのは「車を貸すこと」だけです。 もしお客様が「自分では運転したくない」という場合、お客様ご自身で、レンタカー会社とは全く無関係の運転代行業者や友人に運転を依頼してもらう必要があります。 （※レンタカー会社が特定の業者を紹介したり、仲介したりすると違法になるので注意が必要です！）

正しい「レンタカー事業」なら、もっと手軽に始められます！

ここまで「ダメなこと」ばかりお話ししてしまいましたが、逆に言えば**「お客様自身に運転してもらう」という通常のレンタカー事業であれば、参入ハードルは一気に下がります。

• 緑ナンバー不要： 通常の白ナンバー（わナンバー）でOK

• 二種免許不要： 普通免許でOK

• 許可の難易度： しっかり要件を揃えれば、約1ヶ月で取得可能

中古車販売店様の代車活用や、キャンプ用車両のレンタル、高級車の貸し出しなど、「車そのもの」を貸し出すビジネスは、今も高い需要がありますよね。

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