ホストクラブ
キャバクラ
ガールズバー
コンカフェ/メンコン
風営法に関わる事業者/キャストにとって、大きな変革期となった2025年の風営法改正。
特に、これまで集客の生命線であった「広告・宣伝活動」に関する規制が大幅に強化されましたよね。
「うちの店の看板やウェブサイトは、このままで大丈夫だろうか?」
「具体的にどのような表現が禁止されたのか?」
このような不安を抱えている経営者様は多いでしょう。
本記事は、風営法の許認可手続きに特化した行政書士事務所である弊所が、改正の核となる広告規制の具体的な内容、禁止される表現の事例、そして法令違反を避けるための即時対応策を徹底的に解説します。
この記事を最後までお読みいただくことで、新規制の内容を正確に理解し、行政指導や罰則を受けるリスクを最小限に抑え、法令遵守(コンプライアンス)の体制を確立することができます。
5分程度で読めるよう、要点をぎゅっと絞って解説していますので最後までお読みください。
【核心】2025年 風営法改正で追加された広告規制の具体的な禁止事項
今回の風営法改正における広告規制強化は、主に「客の不必要な優越感や競争意識を煽り、過度な飲食や金銭の要求、あるいは売春やAV出演などにつながる広告を排除する」という目的で施行されました。
まずは、今回の法改正により新たに追加された具体的な禁止事項を解説します。
禁止事項の全体像:射幸心を煽る表現の排除
対象:今回の広告規制は、主に「接待飲食等営業」(風営法第2条第1項)を行う店舗(ホストクラブ、キャバクラ、一部のガールズバーなど)を対象としています。過度な競争を生み出すことで払いきれない高額売掛や風俗・AVの強要といった社会問題への対応ですね。
禁止される表現 ①:売上高・ランキング等の表示
最も大きな変更点の一つが、キャストの「売上高」「ランキング」「役職の誇示」など、競争を煽る表現が禁止されたことです。
ホストが売上を競って得られる称号や栄誉に関することですね。
『今月はNo.1獲れるかもしれない』
『今月〇位以内なら新人王なんだ』
推しにそんなこと言われたら、『協力しなきゃ』と高額なシャンパンを注文したりなどしてしまいますよね。
シャンパンをせっかく注文しても、ランキング上位のライバルにも同じように注文が入ると、競争意識が助長されて自分の支払い能力を大幅に超えた注文をしてしまい悲惨な結果に。。
そんなトラブルを回避するために、下記のような文言が規制されました。
【行政書士の解説】
勘違いされている方もいますが、単なる「店長」や「主任」といった一般的な役職名自体は禁止されていません。
しかし、「No.1ホスト」といった「順位」や「優劣」を示す言葉は明確な規制対象となりますので注意が必要です。
ウェブサイト上のランキングページや、店外の大型看板などは即時対応が必要となります。
禁止される表現②:誇張・煽り表現
客や求職者の射幸心を過度に煽る表現も禁止されました。
- 誇大広告の禁止
- 煽り表現の禁止
例を挙げてみましょう。
【行政書士の解説】
今回の広告規制は顧客に向けた表現だけではなく、ホストクラブなどへの求職者に対する広告も規制されています。
すぐに、だれでも、月収〇〇〇万円で人生が変わる。といったような表現はNGとなりましたので。求人媒体などへの修正対応も必要となります。
禁止される表現 ③:虚偽・誤認させる料金表示
料金体系に関する虚偽の説明や、客を誤認させる表示も禁止されます。いわゆる「ぼったくり」対策の一環ですね。
- 例: 「本当は〇〇万円だけど君だけ特別価格」といった正規のシステムではない虚偽の説明や、会計時に不当なサービス料を上乗せするなどの行為が該当します。
料金は明確かつ正確に表示し、顧客が入店前に総額をある程度把握できる説明を徹底しましょう。
あなたの広告は大丈夫? 規制対象となる媒体・範囲の確認
今回の広告規制の怖いところは、その対象が非常に広範囲に及ぶ点です。
規制対象となる広告媒体
規制の対象となるのは、店舗が使用するすべての広告媒体だと認識しておきましょう。
物理的な広告: 店外看板、電光掲示板(デジタルサイネージ)、のぼり、チラシ、ポスター、名刺、フリーペーパー。
デジタル広告: 自社ウェブサイト、各種SNS、広告動画、YouTube、ポータルサイトの店舗紹介ページ。
特にSNSやウェブサイトは、物理的な広告よりも表現が過激になりがちです。
また、店舗の公式SNSだけでなく、キャストの個人SNSもしっかりとチェックしておく必要があります。
デジタルコンテンツは削除が容易と思われがちですが、一旦公開されれば証拠は残ってしまいますよ。
広告の「意図」が重要
禁止表現そのものが含まれていなくても、例えば「売上No.1」の過去の受賞トロフィーを写した写真をメインビジュアルとして使うなど、文脈や視覚効果によって優劣を強調している場合も規制対象になり得ますので要注意です。
【行政書士が教える】法令遵守のための3つの対応策
法令違反による行政指導や営業停止処分は、事業継続に致命的なダメージを与えます。
まだ、対応できていない事業者の方は早急に以下の3つの対応を早急に行いましょう。
①広告の全面的な見直し・修正
まず、すべての広告媒体の棚卸しとチェックリストの作成が必須。
自社がどの媒体にどのような広告を掲載しているのか確認しましょう。
また、ポスターなど店内にも問題がないか徹底的に確認してください。
②社内研修の実施と周知徹底
事業者さんだけが理解していても現場が理解していなければ意味がありません。
実際に広告を作成・管理する現場の従業員やキャストが改正内容を正しく理解する必要があります。
- 改正法の内容を網羅した接客・広告マニュアルの更新。
- 全従業員向けの法改正内容の社内研修の実施。
③ 広告に関する社内ルールの作成及び誓約書などの作成
一時的な修正で終わらせるのではなく、今後、新しい広告を作成する際の基準となる「社内ルール」を作成しましょう。
これにより、コンプライアンス違反のリスクを継続的に低減できますよね。
また、入社時の誓約書などの書面を改めてチェックして下さい。SNSに関する事項などのルールを記載して遵守してもらうようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
風営法改正による広告規制について理解できましたでしょうか?
2025年風営法改正による広告規制は、ナイトビジネスのあり方を根本から変えるものです。
曖昧な解釈や「このくらいなら大丈夫だろう」という安易な考えは、行政指導、さらには罰則という深刻な事態につながりかねません。
広告表現の修正、社内体制の整備は、スピードが命です。
風営法は解釈が難しく、微妙な表現の違いで合法・違法が分かれるデリケートな分野です。
いつでもご相談ください。