どうも!京都でドローンの飛行許可申請のサポートをしています。
先日こんな記事をみかけました。
固定翼ドローンでダムや河川の巡視・点検…従来より速く遠くまで飛行、職員が4時間かかる区間を17分で(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース
ドローンの機体の機能や活用方法に関する進歩は本当に早いですよね。
人が何時間もかけて行っていた作業を数十分で終わらせてくれています。
無人で巡視や点検が行えるおかげで大幅なコストカットや建設現場などでの高所での確認作業など、ドローンに任せることで安全に作業を進めることも可能になります。
さて、この記事では建設現場でも活躍の機会が増えているドローンを建設現場で活用する際に必要となる許可について勉強していきましょう。
建設現場でのドローンの活用方法
まずはどのような建設現場のどのような場面でドローンが活用されているのか一緒に考えてみましょう。
🔲施工管理
空撮による現場の進捗管理や重機や資材の導線確認、従来徒歩で行っていた安全パトロール。
🔲測量
広大な土地などのでの測量による人件費の削減と大幅な時間短縮。
🔲点検
屋根や橋梁などの危険な場所での点検作業による作業人員の安全の確保。工業プラントや河川・鉄道などの広大な土地での点検業務による大幅な時間短縮。
🔲運搬
高所や距離のある場所への作業資材の運搬など。
現在の建設現場での活用事例があるのはこの辺りでしょうか。
長時間労働や人手不足の問題解決にもっとドローンが活用されると嬉しいですよね。
では、ドローンの活用方法について認識を共有できたところで、必要になりそうな許可について考えてみましょう。
国土交通省への飛行許可申請
ドローンと密接に関係する航空法。
建設現場でドローンを活用する為に必要となる基本的な許可となります。
航空法の対象となるのは100g以上の機体のみになりますが、測量や空撮などの現場での活用方法を考えると100g以下の機体を使用するケースはほぼないと思われますので、航空法について理解しておく必要があります。
航空法の全体像については下記記事にまとめてありますので併せてお読みください。
上記記事で詳しく説明していますが、ドローンの飛行許可は大きく分けると、『飛ばす場所』と『飛ばす方法』について許可を取得する必要があります。
ドローンの飛行の許可が必要となる場所
※航空:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法 – 国土交通省 より引用
「空港等の周辺」
空港など周辺では制限高度が定められています。
「緊急用務空域」
緊急用務を行う消防防災ヘリなどが飛行する空域のことです。
緊急用務空域の指定は国土交通省のウェブサイトで公表されます。また、指定の解除も予めの予告はありません。
「150m以上の上空」
単純に地表から飛行しているドローンまでの高さのことです。
「人口集中地区」
ドローンのトラブル等による落下により危害を及ぼす可能性の高い人又は家屋の密集地域です。(DID地区)
街中での工事はほとんどの場合が該当します。
ちなみにこれらの飛行制限については、国土地理院の地理院地図で調べればわかりやすいです。
地理院地図 / GSI Maps | 国土地理院
ドローンが飛行する方法
『特定飛行』に該当する場合にも飛行許可が必要となります。
下記が『特定飛行』と呼ばれる飛行方法となります。
ここは大事なので詳しく説明しますね。
🔲夜間での飛行
航空法には飛行時間の規則として、無人航空機の飛行に関して定めた航空法第132条の2第5号において「日出から日没までの間において飛行させること」という記載がありますので夜間飛行には国土交通大臣の承認が必要となります。
注意すべきポイントは下記の様になります。
夜間飛行の場合は目視外飛行はしない。(※夜間の目視外飛行は独自マニュアルを作成し安全対策を講じる必要があります)
機体の向きが確認できるようライトを点灯すること。
日中に障害物などを確認して最適な飛行ルートを決めておくこと。
飛行高度と同じ距離の半径範囲内に第三者を立ち入らせないこと。(第三者の立ち入りを制限できない場合は独自マニュアルで安全対策を講じる)
夜間飛行の為の訓練を行うこと。
離着陸地点に照明を用意すること。
🔲目視外飛行
ドローンを飛行させるためには、機体を目視しながら操縦することが原則となります。しかし、無人での安全パトロールや高所などの危険な場所の点検はカメラの映像を見ながら操縦することになりますよね。
このような飛行方法は『目視外飛行』に分類されます。
注意すべきポイントは下記の様になります。
機体について以下の基準に適合すること
・自動操縦システムを装備し、機体に設置されたカメラ等により機体の外の様子を監視できる
・地上において、無人航空機の位置及び異常の有無を把握できること
・フェールセーフ機能が正常に機能すること
操縦者の技量について
・モニターを見ながら遠隔操作により意図した飛行経路を維持しながら安全に飛行、着陸させることができる
安全確保の体制
・障害物等を事前に確認し、適切な飛行経路を特定する
・飛行経路全体を見渡せる位置に、飛行経路、気象状況の変化を常に確認できる補助者を配置し、安全に飛行させることができるよう必要な助言を行う等
🔲人または物件と距離を確保できない飛行
ここでいう人や物件は第三者や第三者の所有する物件です。
人については、飛行を行っている者及び関係者。建設現場で使用する場合は建設会社さんだと思いますのでドローンの操縦者や工事に関わる作業員以外の人のことです。通行人などが該当しますね。
物件も工事に関わる物件ではなく、隣のビルや信号機や電柱・通行する車両などになります。
これらの『第三者の人や物件』との距離ですが、具体的には30mの距離を確保する必要があります。
🔲催し場所での飛行
催し場所いわゆるイベントですね。イベントなどたくさんの人が集まる場所の上空でドローンを飛行させると、トラブルなどが起きた場合に重大な事故を引き起こす可能性が高くなりますので国土交通大臣の承認が必要となります。
・具体的な例
○該当する例:
航空法第132条の86第2項第4号に明示されている祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催される
コンサート等のイベント、ドローンショー(自社敷地内、無人の競技場内等、第三者の立入管理措置が行われていることが明白である場所での事前
練習や企業向けの配信用撮影等を除く)、花火大会、盆踊り大会、マラソン、街頭パレード、選挙等における屋外演説会、デモ(示威行為) 等
○該当しない例:
第三者に関することに示す関与者のみが参加する催し場所上空の飛行、自然発生的なもの(例えば、混雑による人混み、信号待ち) 等
🔲危険物の輸送
ドローンでの輸送は、数十キロの重量物を運べる期待がありますので、火薬類、高圧ガス、引火性液体等の危険物を輸送することが十分に可能です。
危険物を運搬してるときに不具合が発生したらシャレになりませんよね?
その為、危険物の輸送も国土交通大臣の承認が必要となっています。
・具体的な例
農薬、火薬、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質類、酸化性物質類、毒物、腐食性物質、凶器、放射性物質など
🔲物件の投下
物件投下は文字通りです。何らかのものをドローンで運搬し、空中で投下することです。
建設現場でドローンを活用する際に、建築資材の運搬で使用する事例が増えてきましたね。
ちなみに空中で投下せず、人が直接受け取ったり、地面に置いたりする場合には投下には該当しませんので承認は不要です。
農薬などの液体を散布する行為も物件投下に該当しますので承認が必要となります。
上記が航空法で定められている許可や承認が必要な場所と飛行方法になります。
道路使用許可
道路を本来の目的以外で使用する場合は、管轄の警察署で道路使用許可を取得する必要があります。
道路の本来の目的は車両や歩行者などの通行ですよね。
では、建設現場でドローンを使用する際にはどのような場合に道路使用許可が必要となるのでしょうか?
下記が具体的に想定されるシーンとなります。
- 点検のため道路上でのドローンの離発着が必要な場合
- ドローンの操縦者が道路に出て操縦したり、関連作業の実施したりする場合
- 飛行経路直下およびその周辺に第三者が立ち入らないようにするために補助者を配置する場合
- ドローン飛行により人が多く集まってきて危険や交通の妨げてしまうおそれがある場合
- その他、無人航空機の飛行が道路交通に著しい影響を与える場合
道路使用許可については下記記事に詳しくまとめていますので併せてお読みください。
土地の管理者や所有者の許可
工事を行う土地の所有者や管理者に事前に連絡をして許可を取得する必要があります。
例えば、河川なら河川事務所、海上なら港湾局や海上保安庁、国有林での飛行なら森林管理署、第三者の土地建物の上空なら所有者の許可が必要な場合も勿論あります。
連絡をして担当者に繋いでもらい、『日時』『場所』『飛行目的』を伝えておきましょう。
また、必須ではないですが管轄の警察署には一応話を通しておいた方が無難です。
というのも、街中や住宅街など人が多い場所でドローンを飛行させると思いのほか目立ちます。
だれが通報するか正直わかりませんので、事前に警察に相談しておくことで無駄な職質などを避けることが可能です。
建設現場での飛行にドローンの国家資格は必要?
まず結論から言います。
国家資格を取得してください。
持っていなければドローンを飛行できないとか、撮影できないとかじゃないんですが、建設現場でドローンを活用するのであればメリットが大きいので取得してください。
国家資格を取得するメリットは、これまで飛行できなかった場所での飛行が可能になったり、申請・許可の手間が省略されることで、仕事で使用する際に手続きが非常にスムーズになります。
ドローンの国家資格は『無人航空機操縦士』という名称で、一等資格と二等資格に分かれています。
違いは下記の図を見てください。
⼀等、⼆等ともに、「25kg以上」「⽬視外」「夜間」の限定解除が可能です。
解除項目 | 一等無人航空機操縦士 | 二等無人航空機操縦士 |
---|---|---|
基本 (限定解除なし) | 目視内・昼間に行わるカテゴリーⅢ飛行 | 目視内・昼間において、立入管理区画を設置し特定飛行(DID、人・物件30m以内に限る) |
25kg以上 | 第三者上空における大型機の飛行 (目視内・昼間) | 立入管理区画を設置し大型機の飛行 (目視内・昼間) |
目視外 | 第三者上空における補助者なしの目視外飛行 (25kg未満・昼間) | 立入管理区画を設置し補助者なしの目視外飛行 (25kg未満・昼間) |
夜間 | 第三者上空における夜間飛行 (25kg未満・目視内) | 立入管理区画を設置し夜間飛行 (25kg未満・目視内) |
例えば、無人で安全パトロールをドローンで行う飛行方法は目視外飛行になりますし、ある程度の重量のある建築資材を運ぼうとすると25㎏以上の機体が必要になることもあります。
国家資格を取得するだけで仕事の質が上がることは間違いありませんね!
建設業でドローンを活用したい方はご相談ください
いかがでしょうか?
建設現場などでドローンを活用するために必要な許可について理解できましたか?
ドローンの飛行許可を取得するだけなら、行政書士でなくともだれでもできます。
しかし、この記事でお話したようにドローンの飛行には様々な許認可が絡んでくる可能性があります。
法律の専門家として、ドローンの専門家として、必要な許可をスムーズに取得する方法や安全な飛行方法など、よろず相談所としてお気軽に弊所にご相談ください。