『特定飛行をする場合、ドローンは第三者上空を飛行してはならない』
ドローンを操縦する人は、知っておかなければならない大原則ですよね。
(カテゴリーⅢは除く)
審査要領でも・・・
4-3 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制 4-3-1 次に掲げる事項を遵守しながら無人航空機を飛行させることができる体制を構築すること。 (1)第三者に対する危害を防止するため、原則として第三者の上空で無人航空機を飛行させないこと。
飛行マニュアルでも・・・
2-9 無人航空機を飛行させる者が遵守しなければならない事項 (1) 第三者に対する危害を防止するため、第三者の上空で無人航空機を飛行させな い。
あいまいにとかではなく、明確に禁止されていることがわかります。
そんな大原則なんですが、『第三者上空』について正しく理解している方は多くはありません。
この記事では、正しく理解しておかなければならない『第三者上空』についてわかりやすく解説いたします。
3分程度で読めるよう要点をギュギュっと絞って解説いたしますので、最後までお読みいただければと思います。
第三者上空の定義
『第三者上空』の定義の前に、まずは、『第三者』の定義について確認しましょう。
航空局のホームページにある「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」(001303820.pdfに記載されている内容を見てみると、『第三者』の定義を下記の様に記載してあります。
原文のままだとわかりにくいので簡単にまとめますね。
「第三者」とは、ドローンの飛行に直接的又は間接的に関与していない者をいう。
直接的に関与している者
◇ドローンの操縦者
◇現に操縦はしていないが操縦する可能性のある者
◇補助者等無人航空機の飛行の安全確保に必要な要員
間接的に関与している者
◇操縦者が、間接関与者について無人航空機の飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
◇間接関与者が、操縦者から、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。なお、間接関与者は当該指示と安全上の注意に従うことが期待され、操縦者は、指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認する必要がある。
◇間接関与者が、無人航空機の飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。 例:映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒 等
上記以外の人は第三者とみなされるということですね。
例えば、通行人・近隣住民やイベントの観客などが該当します。
では、『第三者上空』についても考えてみましょう。
「第三者上空」とは、先ほどの「第三者」の上空をいいます。
まぁ文字通りですね。
「第三者」の真上だけでなく、飛行させる無人航空機の落下距離(飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離)を踏まえ、当該無人航空機が落下する可能性のある領域に第三者が存在する場合は、当該無人航空機は当該第三者の上空にあるものとみなされます。
移動中の車なんかも「第三者上空」に該当します。
そして、下記のようなケースは第三者上空に該当しません。
①「第三者」が遮蔽物に覆われており、当該遮蔽物に無人航空機が衝突した際に当該第三者が保護される状況にある場合(当該第三者が屋内又は車両等(移動中のものを除く。)の内部にある場合等。)
②「第三者」が、移動中の車両等(無人航空機が当該車両等に衝突した際に当該第三者が保護される状況にある場合に限る。)の中にある場合であって、レベル3.5飛行として一時的に当該移動中の車両等の上空を飛行するとき。
上記が「第三者上空」の定義となります。
それでは、ここからは実際のケースごとに第三者上空飛行に該当するかどうかを考えてみましょう。
空撮|第三者上空に該当するケース
まず、上記で説明したように直接関与者と間接関与者は該当しませんよね。
・該当しない
◇直接関与者
操縦者・補助者・控えの操縦者
◇間接関与者
撮影の対象となる人・空撮の製作スタッフ・依頼主など、空撮の目的を果たすために必要となる人
・該当する
通行人・通行車両・近隣住民など、撮影に関与していない人
工事現場|第三者上空に該当するケース
・該当しない
◇直接関与者
操縦者・補助者・控えの操縦者
◇間接関与者
依頼主・工事の作業員・測量士・警備員など(何の目的でドローンを飛行させるのか、安全注意の指示と周知を行う必要有り)
・該当する
作業員・警備員・通行人・工事関係車両(燃料車の運転手など、ドローンの飛行に関係ない人)
※作業員・警備員に関してはドローンの飛行目的や安全周知・指示がされていない場合
工事現場の場合は、複数の事業者が工事現場内を動き回ることがあります。
朝礼などで〇時からドローンの飛行を行いますとアナウンスをしましょう。
また、工事現場内には燃料車や材料屋さんなど一時的に工事現場に入る人もいますので、警備員さんにも工事関係者以外の立ち入りを制限してもらいましょう。
イベント会場|第三者上空に該当するケース
・該当しない
◇直接関与者
操縦者・補助者・控えの操縦者
◇間接関与者
イベントの製作スタッフ・依頼主など
・該当する
観客や通行人など
関係者だけのイベントであれば第三者上空には該当しません。
例えば、農薬散布のデモンストレーション。
飛行目的・・・農薬散布機の性能や実際の作業の確認
飛行目的をデモンストレーションを見に来た人たちと操縦者が共有する。
そして、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を周知する。
安全上の注意を理解しているか確認する。
不特定の人をいれない。
上記をしていれば第三者上空には該当はしないですよね。
まぁそもそも農薬散布のデモンストレーションは高度が低いのであまり該当しませんが。
車両|第三者上空に該当するケース
・該当しない
停車中の車両(オープンカーやバイクなどの周囲が覆われてないものは除く)
・該当する
移動中の車両(レベル3.5飛行中を除く)
家|第三者上空に該当するケース
・該当しない
家の中の人
・該当する
家の庭にいる人
まとめ
いかがですか?
第三者上空飛行について理解できましたでしょうか?
第三者の間接関与者については、人によって解釈がかなり変わります。
自分の都合のいいように解釈するのではなく、間接関与者の条件に当てはまっているかどうか客観的に考えることが必要となりますので、注意して飛行を行いましょう。