地上からの撮影では得られない視点からの映像や写真を撮影することができる『空撮』。
被写体の普段見ることができない景色を捉えたり、イベントの迫力や魅力を伝えたり。近年ドローンでの空撮の需要は増加しており、ドローンでの撮影をメインとしたカメラマンやインスタグラマー・Youtuberなども有名な人も多くなりましたよね。
今までは空撮といえばヘリコプターだったんですが、ドローンを使用することで低コストでより手軽に空撮を実現できるようになったことも需要の増加の要因の一つですよね。
しかし、急激に需要が増加したことによる問題も発生しています。
例えば、、、
【県内初摘発】空自基地上空をドローン無許可飛行か…風景撮影中「重要施設と知らず」60代男性を書類送検(静岡)(2024年10月17日掲載)|日テレNEWS NNN
上記のように無許可飛行などのトラブル件数も増加してるんですよね。
無許可飛行はもちろん違法行為です。
「法の不知はこれを許さず」という言葉があるんですが、法律を知らないからといって罪を免れることはできないんですね。
自分自身を守るためにも、空撮をする際に最低限覚えておくべき法律は覚えておきましょう。
この記事では、空撮に必要な許可や知っておくべき法知識について、3分程度で読めるように要点をギュッと絞ってまとめました。
それでは早速学んでいきましょう。
空撮に必要な許可とは?
ドローンを飛行させる際には様々な法律の規制を受けることはご存じですよね?
細かいことを言うともっとあるんですが、主に下記のような法律の規制対象となっています。
🔲航空法
「飛行禁止空域」や「飛行方法」について定められています。
ドローンと密接な関係にある航空法については下記記事に詳しくまとめていますので併せてお読みください。
🔲小型無人機等飛行禁止法
飛行禁止空域を定めている法律で、国が定める重要施設付近でのドローン全般の飛行を禁止しています。
🔲道路交通法
ドローンの離着陸・飛行により車や歩行者などの通行を妨げる場合や、人が集まることで交通に悪影響をおよぼす場合などは、道路使用許可や道路占用許可が必要となります。
🔲民法
他人の私有地で飛行させる際には事前に許可が必要となります。
🔲電波法
電波法により、ドローン・送信機から発信される電波には一定の周波数帯が総務省から割り当てられています。
🔲各都道府県の条例
国が定める法律以外にも、ドローンに関する条例が定められている場合もあります。
たくさんありますよね。
全部重要なんですが、この記事のメインの内容である許可に限って話をするのであれば、、、
『航空法』
『民法』
『各都道府県の条例』
この辺りが空撮の際に許可が必要となってくる法律ですね。
順番にどんな許可が必要になるのか確認しましょう。
空撮に必要な飛行許可|事業目的なら包括申請がおすすめ
飛行禁止空域
人口集中地区(DID地区)、空港周辺、150m以上の高さの空域、緊急用務空域
飛行の方法
夜間飛行、目視外飛行、第三者から30m以内の飛行、イベント上空での飛行、危険物を輸送する飛行、物件を投下する飛行
上記の飛行禁止空域や飛行の方法を行って空撮を行う場合には、国土交通大臣の承認・許可が必要になります。
空撮を行う場合、ほぼ該当すると思ってもらっていいです。
飛行する日程の10開庁日前までには、上記のDIPS2.0でオンライン申請をしなければなりません。
許可申請には大きく分けると2種類あります。
『包括申請』と『個別申請』です。
『包括申請』※事業目的のみ
最長1年間の飛行許可。日本全国を飛行エリアとして許可取得が可能。
空撮で包括申請をする場合、「日本全国」で「1年間」、許可承認項目を、「DID(人口集中地区)」、「夜間飛行」、「目視外飛行」、「人又は物件から30m未満での飛行」の4項目での許可承認手続きをしておけば問題ないでしょう。
包括申請について概要を分かりやすく下記記事にまとめていますので併せてお読みください。
空撮で他人の土地上空を通過すると?|民法との関係
土地には、その所有者が法令の範囲内でその土地を「自由に使用、収益、処分ができる権利」があります。
『所有権』です。
簡単に言うと所有者が建物を建てて使用したり、土地を貸したり駐車場にして収益を得たり、売ってしまって処分したりできる権利ですね。
それが地上であれば分かりやすいのですが、今回ドローンの飛行について問題になるのは空です。
その土地の上空は誰のものなのか。
内閣官房小型無人機等対策推進室の資料(betten4.pdf)によると下記のような記載がありました。
【土地所有権の範囲についての基本的考え方】
民法においては、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に
及ぶ。」(第 207 条)と規定されているが、その所有権が及ぶ土地上の空間の範囲
は、一般に、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」とされている。
このため、第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常
に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではないものと解される。
この場合の土地所有者の「利益の存する限度」の具体的範囲については、一律に
設定することは困難であり、当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的
な使用態様に照らして、事案ごとに判断されることになる。
『利益の存する限度』までが所有権の範囲とあります。
事案ごとの判断となっていますが、勿論土地の上に建築物(例えば家)が建築されている場合、その建築物の高さによっても変わりますよね。
注意すべきポイントは、、、
①プライバシーや肖像権
車のナンバーなど個人が特定されるような内容にはぼかしをいれるなどの配慮が必要です。
②騒音
ドローンの飛行音などですね。建物の30m程度上空であれば、ほぼ聞こえることはないと思いますので、民家周辺での低空飛行は控えましょう。
③安全性
どんなに安全機能が発達したとしても、機械ですのでトラブルは0ではありません。
トラブルが起きる可能性を限りなく低くするためにも、第三者の立ち入り制限措置や常日頃から整備をしっかりとおこないましょう。
ここまで読んでもらえばわかると思いますが、他人の土地の上空をドローンが飛行するとしても必ずしも所有者の許可が必要なわけではありません。
しかし、揉めないように事前に土地の所有者などに周知することは、自分を守るためにも必要な行動と言えますね。
ドローンと都道府県条例について
航空法などのドローンを規制する法律以外にも、各都道府県の条例でドローンの飛行が禁止されている場所があります。
例えば京都では、、、
京都市都市公園条例
第5条第10号
都市公園において,ドローンの飛行は原則禁止ただし,飛行の目的が「業としての撮影(学術目的のものを含む)」,「行政が関与するイベントや興行」及び「災害時における飛行で,本市又は本市の要請を受けた者が実施する場合」は飛行させることが可能
京都市体育館条例
第6条
原則禁止。ただし指定管理者が許可する場合は可能。(「他の利用者に迷惑を掛け,又は迷惑を掛けるおそれがあるとき」に該当)
上記は一例です。
多くの公園や河川、港湾などでは指定管理者の許可が必要となるケースが多いです。
あなたが空撮をしたい場所に管理者がいる場合には事前に連絡をして調整をする必要があります。
撮影をする前に飛行予定地の自治体の条例を調べるようにしましょう。
『飛行予定地 ドローン 条例』でググれば情報はでてきます。
まとめ
いかがでしょうか?
空撮に必要な許可について知ることはできましたか?
弊所では、ドローンの登録や飛行許可の代行を主な業務として行っております。
国土交通省の承認許可だけではなく、飛行内容をヒアリングした上で必要な自治体の管理者等への調整なども行っております。
安心してドローンを飛行させる際のお手伝いをさせていただいておりますのでお気軽にお問い合わせください。