日本でドローンが流通し始めたばかりの2015年、当時の安倍首相が「早ければ3年以内に小型無人機(ドローン)を使った荷物配送を可能にする」と発言しました。
「昔アニメで見た世界やん!」
と心を躍らせた方も多かったのではないでしょうか?
しかし、その当時はまだまだ法整備も追いついておらずまだまだ時間が掛かるだろうと言われていましたね。
その後、法整備が進められ2022年12月5日に待望のレベル4飛行が解禁されました。
レベル4飛行が制度として解禁されたことで、ドローンによる無人配送がぐっと現実的になったと言えます。
この記事では、ドローンのレベル4飛行について定義と飛行する為の条件をわかりやすくまとめました。
3分ほどで読めるよう要点をギュッと絞ってまとめましたので、ぜひ最後までお読みいただきレベル4飛行についての理解を深めましょう。
レベル4飛行の定義
まずは、レベル4飛行とはなんぞや?という所から解説します。
意外と誤解している人もいるので再確認です。
ドローンの飛行レベルは、飛行場所や飛行方法などの運航に必要な飛行技術を基準にレベルが1~4に分類されています。
下記の図を見てください。
ちなみにもっと細かく言うと、レベル3の中に「レベル3.5」が存在します。
レベル3.5飛行については下記記事で詳しく記載していますので併せてお読みください。
今回のメインテーマとなるレベル4飛行は、『有人地帯での目視外飛行』と定義されていますね。
人口が集中している都心部の上空を補助者無しで飛行させることができるわけです。
ではどのようなことが可能になるのでしょうか?
例えば、、
・物流
市街地での目視外自動飛行が可能になることで、物流拠点から市街地を上空を通って最短で遠くへ物を運んだり、市街地や繁華街への配達が可能になります。
・警備
イベント上空や工事現場などの有人地帯での巡回警備をすることが可能になります。
・建設
市街地での建築物の測量・点検、建設現場での安全パトロールなどの施工管理。また、倉庫から建設現場への重量物の運搬、現場での高所作業の補助などが可能になります。
・災害
災害時の被災状況の把握、食料品や衣料品などの救援物資の運搬などが可能になります。
ぱっと思いつくだけでもこれだけあります。
頭がいい人が考えれば、無限に可能性は広がっていくでしょうし、まさに空の産業革命と言えますね。
レベル4飛行の要件
では、解禁となったレベル4飛行はどのような要件で飛行することが可能なのでしょうか?
レベル4飛行は便利な反面、有人地帯の上空を飛行することになりますので、万が一にでも事故が起こった際には大きな被害が出ることが予想されます。
ということは、それに見合った『安全性』を担保する必要がありますよね。
その為、『操縦者』『機体』『運行ルール』について、要件が厳しく定められています。
『操縦者』
レベル4飛行には、一等無人航空機操縦者の技能証明(ライセンス)が必要となります。
技能証明制度を簡単に説明すると、操縦者がドローンを安全に飛行させるための知識や技能を持ってますよ!と、お国が認めてくれる・・まぁ車の免許みたいなもんですね。車の免許と違うのは、現状ドローンのライセンスは取得していなくても飛行させることは可能です。特定の飛行方法(レベル4飛行など)の場合に必要となります。
『機体』
①機体登録手続き
航空法違反事案や事故発⽣時に確実に所有者を把握し、原因究明や安全確保上必要な措置の確実な実施を図るため、無⼈航空機の機体の所有者・使⽤者の登録制度を創設する改正航空法が令和2年6⽉に公布され、令和4年6月に施工されました。
レベル4飛行は勿論ですが、100g以上のドローンを屋外で飛行させる場合にはDIPS2.0で機体を登録する必要があります。
②機体認証手続き
機体認証は、ドローンの強度や構造・性能について国土交通省や登録検査機関で検査を行って、機体の安全性を確保する為の認証制度です。
機体認証と型式認証に分かれており、機体認証は機体の所有者・型式認証は機体のメーカーが取得するものになります。
下記記事に詳しくまとめていますので併せてお読みください。
レベル4飛行には、『第一種型式認証』と『第一種機体認証』が必要となります。
『運行ルール』
《共通ルール》
飛行計画の通報・飛行日誌の作成・事後報告の義務・救護義務
《レベル4飛行》
運航形態に応じた基本的な安全対策の実施・リスク評価の結果に基づくリスク軽減策を取り入れた飛行マニュアルの作成・保険の加入。
保険については、有人地帯での飛行ですので、墜落事故等によって第三者の負傷や交通障害等の事態が発生した場合においても、十分な補償ができるよう、保険金額を検討しましょう。
レベル4飛行の安全確保の留意事項
2025年現在、レベル4飛行は様々な実証実験が行われています。
2025年3月に国土交通省で公開された資料《エリア単位でのレベル4飛行における留意事項等》から事例を何点か見てみましょう。
※001881974.pdf
まとめ
いかがでしょうか?
レベル4飛行について参考になりましたでしょうか?
まだまだ実証段階で事例もあまりでていないレベル4飛行ですが、情報が少しずつ出てくるようになりましたね。
ロードマップによると、一人の操縦者で複数のドローンを同時に管理する運行管理体制が計画されていますので、実現すれば本当に《空の産業革命》となるでしょう。