現在では、空撮・測量・農業・物流など様々な業界で多種多様な使い方をされている【ドローン】
どの業界でもそうですが、ドローンを業務に使用しているだけで『仕事できる人』みたいに思っちゃいますよね。
実際にすごく便利で仕事の効率化もできますし。
『未来のアイテム』として期待も高く、需要も伸びていく産業だと思います。
私個人もドローンが大好きで、どうせなら仕事にしたいと考え『ドローンの飛行許可申請』について調べたり、実際に許可を取得してみたりしていくうちに弊所のメイン業務の一つとなりました。
この記事では、これから『ドローン許可申請を自分でやってみたい!』という方に向けてわかりやすくまとめました。
5分程度で読めるよう要点をギュッと絞って解説していますので、最後までお付き合いいただければと思います。
ドローン飛行許可申請とは?
まずはドローンの飛行許可申請についてですね。
そもそもドローンの定義とは何でしょ?
飛行タイプのラジコン?
なんかカメラ付いてるヘリコプターみたいなの?
大きい声では言えませんが、僕はこの業界に関与する前はこの程度の認識でした。
簡単に言うと、航空法では『無人で遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの』となっています。
その中でも100g以上(機体本体∔バッテリー)のものが『無人航空機』と分類されて国土交通大臣の許可が必要となる訳です。
あまり馴染みのない航空法ですが、安全にドローンを飛行させるためのルールだと思ってください。
自動車を公道で走行する際にも道路交通法などの交通ルールを教習所で学びますよね?
ちなみに免許と呼ばれていますが、運転免許も実は手続き的には許可になります。
安全にドローンを使用する為にも航空法などのドローンに関する法律を勉強しておきましょう。
ドローンに関する法律は多岐にわたります。
🔲航空法
「飛行禁止空域」や「飛行方法」について定められています。
🔲小型無人機等飛行禁止法
飛行禁止空域を定めている法律で、国が定める重要施設付近でのドローン全般の飛行を禁止しています。
🔲道路交通法
ドローンの離着陸・飛行により車や歩行者などの通行を妨げる場合や、人が集まることで交通に悪影響をおよぼす場合などは、道路使用許可や道路占用許可が必要となります。
🔲民法
他人の私有地で飛行させる際には事前に許可が必要となります。
🔲電波法
電波法により、ドローン・送信機から発信される電波には一定の周波数帯が総務省から割り当てられています。
🔲各都道府県の条例
国が定める法律以外にも、ドローンに関する条例が定められている場合もあります。
多くの法律が関係してくるので頭が混乱してきますよね。
なので、まずは最低限どんな時に飛行許可申請が必要になるのか確認しておきましょう。
ドローンの飛行許可申請が必要なケース
ドローンの飛行許可は大きく分けると、『飛ばす場所』と『飛ばす方法』について許可を取得する必要があります。
ドローンが飛行する場所に関する許可
ドローンをどこでも自由に飛行できるとなると色々なトラブルが発生します。
住宅地や道路の上で飛行していて墜落すると大きなけがに繋がりかねません。
その為、『飛行する為に許可が必要な区域』と『飛行禁止区域』が定められています。
ドローンの飛行の許可が必要となる空域
※航空:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法 – 国土交通省 より引用
「空港等の周辺」、「緊急用務空域」、「150m以上の上空」、「人口集中地区」のように、航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域や、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼすおそれが高い空域において、無人航空機を飛行させる場合には、あらかじめ、国土交通大臣(申請先は飛行エリアを管轄する地方航空局・空港事務所)の許可を受ける必要があります。
これだけ見るとざっくりし過ぎてて結局どこやねん!と思いますよね。
ちゃんと詳しく解説しますよ。
『150m以上の上空』
これは分かりやすいですよね。
単純に地表から飛行しているドローンまでの高さのことです。
地表3000mの山の上から飛ばしても地表から150m以内であれば許可申請は不要となります。
ただし、山での撮影は注意が必要です。
山には谷や崖といった起伏が激しい場所が多々あります。
標高が急激に低くなると相対的にドローンの高さが150m以上となるケースが頻発します。
『空港等の周辺の空域』
ここで重要なポイントは、単純な距離ではなく『空域』で考えるということです。
空港から直線距離で何メートルといった簡単な考え方ではなく高度も関係してきます。
空港からの距離により高度が制限されていて、制限高度より高い位置で飛行させることは原則禁止で許可が必要となります。
逆に制限高度より低ければ許可を必要としません。
では、どうやって制限高度を調べるのか?
まず空港によって制限の仕方が変わります。
『指定8空港』
新千歳空港・成田国際空港・東京国際空港・中部国際空港・関西国際空港・大阪国際空港・福岡国際空港・那覇空港
令和元年9月18日より、上記の8空港においては、進入表面若しくは転移表面のの敷地の上空の下の空域、空港空域も飛行禁止となっております。
簡単に言うと制限が他の空港より厳しいということです。
図で見るとこんな感じ。
国土交通省 より引用
ちなみにこれらの空港等の周辺の空域は国土地理院の地理院地図で調べればわかりやすいです。
地理院地図 / GSI Maps | 国土地理院
飛行予定地の住所を入力すると詳細が確認できます。
関西国際空港を例にするとこんな感じ。
地理院地図を参考にして、進入表面等に該当するときは 関係する 空港等設置管理者 との調整が必要。
管制圏等の空域内であるときは関係する 管制機関(空港事務所等) との調整が必要となります。
上記の調整をしてから国土交通大臣に対する許可申請を行うという流れになります。
人口集中地区の空域
ドローンのトラブル等による落下により危害を及ぼす可能性の高い人又は家屋の密集地域において、人や建物の安全を確保するために人口集中地区の上空も原則飛行禁止となっています。
国土地理院地図ではこんな感じ。
大好きな京都市で見てみましょうか。
この赤いとこです。
なかなか広範囲ですよね。
覚えておいてほしいのは、この人口集中地区の上空での飛行は自宅などの自分の私有地でも原則禁止です。
自宅や人気のない農地や河川敷でも人口集中地区内では国土交通大臣の許可なしでは飛行できません!
緊急用務空域
緊急用務を行う消防防災ヘリなどが飛行する空域のことです。
緊急用務空域の指定は国土交通省のウェブサイトで公表されます。また、指定の解除も予めの予告はありません。
こんな感じで公表されてます。
ドローンを仕事にするのであれば、国土交通所のウェブサイトのチェックは欠かせません。
法改正や新たなガイドライン・自粛要請など、ドローンを安全に飛行させるための必要な情報がまとめられています。
ドローンのプロとして情報を常に更新しておきましょう。
ドローンが飛行する方法に関する許可
ドローンの飛行方法は3つのカテゴリーに分類されています。(カテゴリーっていう横文字使うと頭よさそうに見えますね)
カテゴリーⅢ
特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じないで行う飛行。(=第三者の上空で特定飛行を行う)
カテゴリーⅡ
特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じたうえで行う飛行。(=第三者の上空を飛行しない)
カテゴリーⅠ
特定飛行に該当しない飛行。航空法上の飛行許可・承認手続きは不要。
上記のカテゴリーはリスクの低い順にⅠ→Ⅱ→Ⅲです。
勿論リスクが高くなると許可の難易度も上がります。(様々な条件が付いたりですね)
では、上記の『特定飛行』とは何でしょうか?
例えば、視界の悪くなる夜間での飛行や目視できない場所での飛行、人が集中して集まるライブ会場やお祭りなどのイベント上空での飛行など。
国土交通省のウェブサイトでは下記のように画像で説明してくれています。
上記に該当する飛行は『特定飛行』と分類されます。
ドローン許可申請の方法|包括申請&個別申請
ここからはドローンの許可申請の方法についてですね。
ドローンの許可申請は『個別申請』と『包括申請』という方法があります。
個別申請
こちらは通常の許可申請です。
・飛行する場所
・飛行経路
・飛行日時
上記の情報などを申請書に記載して許可を取得します。
空港周辺飛行、高度150m以上、緊急用務空域、イベント飛行などの場合は包括申請はできませんので、個別に申請する必要がありますね。
包括申請
簡単にまとめると、場所や日時を特定せずに一定期間(最大1年間)の間は全国でドローンを飛ばすことができます。
但し、ビジネス目的でドローンを利用する事業者さんだけです。
こちらは便利な制度で例えば、、
・人又は家屋の密集した地域の上空における、目視外飛行及び30m未満での飛行
・夜間飛行、目視外飛行、及び30m未満での飛行
こんな感じのざっくりとした飛行計画で大丈夫です。
期間内であればその都度許可申請を提出する必要がないので、悪天候などの急なスケジュール変更が可能なのもメリットが大きいですね。
ざっくりとした情報で申請できる分、飛行マニュアルに沿って安全に飛行をすることが求められます。
その為、150m以上の飛行・空港周辺・緊急用務空域・イベント飛行は包括申請では許可を取得できません。
ドローン許可申請の流れ
最後に許可申請の流れをご説明いたします。
簡単にまとめるとこんな感じです。
①ドローン情報基盤システム<通称:DIPS2.0>にログイン
まずはドローン情報基盤システム2.0にログインしてください。
②機体・操縦者情報を入力
③申請書を作成|申請先へ提出
カテゴリーⅡ飛行を行う場合の申請先は下表をご参照ください。(カテゴリーⅢ飛行の申請先は国土交通大臣宛となります。)
提出頂いた申請については、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」に基づき審査を行います。
飛行させる空域や地域 | 申請の宛先 |
---|---|
空港等周辺、緊急用務空域及び地上 又は水上から150m以上の高さの空域 | 東京空港事務所長又は関西空港事務所長 |
上記以外(※) | 東京航空局長又は大阪航空局長 |
※人口集中地区の上空で飛行させる場合、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行、催し場所上空の飛行、危険物の輸送、物件投下を行う場合
④審査
⑤許可・承認
電子許可書をダウンロードすることが可能になります。
まとめ
いかがでしょうか?
この記事ではドローンの許可申請について簡単にわかりやすくまとめさせていただきました。
細かいことを言えばまだまだあるんですが、最低限この記事の内容は頭に入れておいてください。
弊所は主な業務としてドローンの許可申請を代行していますが、それ以前にドローンユーザーとして皆さんにドローンを楽しんでもらえるよう自分の持つ知識を発信しています。
これからもドローン法務の専門家としてだけではなく、ドローンユーザーならではの観点からも面白い記事を提供していきますので、たまにこのウェブサイトを見に来ていただけると嬉しいです。